炭酸リチウム(リーマス)は躁病・躁状態治療剤として使用されているお薬です。
適応症
用法用量
通常1日400〜600mgより開始し、1日2〜3回に分割投与。
以後3日ないし1週間毎に、1日通常1200mgまでの治療量に漸増する。
改善がみられたならば症状を観察しながら、維持量1日通常200〜800mgの1〜3回分割投与に漸減する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
作用機序
以前から使用されている薬ですが、作用機序はまだ解明されていません。
経験的に躁状態を改善し、抗うつ効果もある気分安定薬として使用されてきました。
中枢神経の、ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニン系において際立った作用のものはなく、多くの作用が複雑に絡んで効果を発揮していると考えられています。
抗躁効果、抗うつ効果が得られます。
禁忌
・てんかん等の脳波異常のある患者
脳波異常を悪化させてしまうことがあります
・重篤な心疾患のある患者
心疾患を増悪してしまうおそれがあります
・リチウムの体内貯留を起こしやすい状態にある患者
腎障害:リチウムの排泄が低下しています
脱水、発熱、発汗、下痢:近位尿細管でのリチウムの再吸収が亢進しています
食塩制限:低Na血症の状態では近位尿細管のリチウムの再吸収が亢進しています
・妊婦、または妊娠している可能性のある婦人
催奇形性の報告があります
リチウム中毒について
リチウム中毒の初期症状では、食欲低下、悪心、嘔吐、下痢等の消化器症状や、めまい、振戦、傾眠などの中枢神経症状があらわれます。
重症化すると、急性腎不全、意識障害、ミオクローヌス等が生じ危険です。
補液や利尿剤を投与して排泄を促しますが、利尿剤の反応がない場合や急性腎不全を起こしている場合は、血液透析を行います。
治療域でも、眠気や倦怠感、口渇、悪心、振戦、排尿困難等の症状が生じることがあります。
血中濃度の測定
血中リチウム濃度の治療域と中毒域が近いため、血中濃度の測定を行うように添付文書に記載されています。
過量投与による中毒を起こすことがあるので、投与初期又は用量を増量したときには維持量が決まるまでは1週間に1回をめどに、維持量の投与中には2〜3ヵ月に1回をめどに、血清リチウム濃度の測定結果に基づきトラフ値(定常状態での最低血中濃度)を評価しながら使用すること。
なお、血清リチウム濃度を上昇させる要因(食事及び水分摂取量不足、脱水を起こしやすい状態、非ステロイド性消炎鎮痛剤等の血中濃度上昇を起こす可能性がある薬剤の併用等)や中毒の初期症状が認められる場合には、血清リチウム濃度を測定すること。