薬剤師情報局

薬剤師の学習記録です

アセトアミノフェン(カロナール)による肝障害

解熱鎮痛剤として、とてもよく使われているアセトアミノフェンカロナール)ですが、高用量での使用により肝障害が生じるおそれがあり、添付文書の警告にも記載がされています。

 

今回はそれについてみていきましょう。

 

添付文書の警告に

「本剤により重篤な肝障害が発現するおそれがあることに注意し,1日総量1500mgを超す高用量で長期投与する場合には,定期的に肝機能等を確認するなど慎重に投与すること。」

 

「本剤とアセトアミノフェンを含む他の薬剤(一般用医薬品を含む)との併用により,アセトアミノフェンの過量投与による重篤な肝障害が発現するおそれがあることから,これらの薬剤との併用を避けること。」

 

と記載がされています。

 

アセトアミノフェンの高用量での使用に対する注意ですね。

またアセトアミノフェンはPL配合顆粒や市販の総合感冒薬などにも含まれており、併用により高用量となってしまうことにも注意が必要です。

 

ではアセトアミノフェン代謝についてみてみましょう。

 

アセトアミノフェンは通常肝臓にて大部分がグルクロン酸抱合、または硫酸抱合を受けて排泄されます。

 

一部はシトクロムP450(CYP2E1、CYP3A4、CYP1A2)で酸化され、毒性をもつ活性代謝のN-アセチル-p-ベンゾキノンイミン(NAPQI)を生成します。

この代謝に主に関与する酵素CYP2E1です。

 

NAPQIは肝臓でグルタチオン抱合を受けて尿中へと排泄されます。

 

アセトアミノフェンが過量投与されると、グルクロン酸抱合や硫酸抱合を行いきれなくなるとCYP2E1により代謝されるようになります。

 

代謝により生成したNAPQIを解毒するグルタチオン抱合の能力を超えてしまうと、NAPQIが肝臓内で増え、肝細胞構成蛋白と結合し肝細胞が障害されてしまいます。

 

このような理由からアセトアミノフェンの大量投与時には肝障害の発生に注意をする必要があります。

 

アセトアミノフェン1日最大投与量は4000mgまでとされていますが、1日1500mgを超す高用量で長期使用される場合には定期的な肝機能検査が必要とされています。

 

アセトアミノフェンは総合感冒薬など含まれている製品も多いため、知らないうちに高用量になってしまわないように気をつけなければなりません。

 

またアルコールとの併用も注意が必要です。

 

多量のアルコール摂取習慣によりCYP2E1が誘導され、アセトアミノフェンからNAPQIの代謝が促進され肝障害が生じるおそれがあります。

 

アセトアミノフェンは安全性が高く、小児から妊婦まで広く使用されている薬剤ですが、長期大量投与の際は肝障害に注意しましょう。

 

 

  まとめ

アセトアミノフェンを1500mg/日の高用量で長期間投与を続ける場合は定期的な肝機能検査を行う

・大部分がグルクロン酸抱合や硫酸抱合を受けて排泄されるが、高用量で投与されるとCYP2E1で代謝されるようになる

・CYP2E1での代謝物が多くなると肝障害を起こしてしまう

・飲酒によりCYP2E1が誘導され代謝物が増えてしまう