薬剤師情報局

薬剤師の学習記録です

テリパラチド(フォルテオ)の注意点

今回は骨粗鬆症治療薬であるテリパラチド(フォルテオ)についてです。

 

テリパラチド(フォルテオ)は副甲状腺ホルモン(PTH)製剤であり、自己注射を行う製剤です。

 

 骨粗鬆症治療薬には骨吸収を抑制するものと、骨形成を促進するものがありましたが、テリパラチドは骨形成を促進する薬剤になります。

 

副甲状腺ホルモン(PTH)は骨の代謝に関与しており、血液中のカルシウム濃度が低下すると分泌されます

 

分泌された副甲状腺ホルモンは骨吸収を促進し、血液中のカルシウム濃度を高めます

 

骨を分解して血液中にカルシウムを放出しているのですね。

 

また、腸管からのカルシウムの吸収を高める働きもあります。

 

これだけを見ると副甲状腺ホルモンは骨吸収を促進して骨を溶かしているので、副甲状腺ホルモンが増えれば骨粗鬆症が悪化してしまいそうです。

 

ですが、副甲状腺ホルモンを間欠的に投与をすると反対に骨形成が促進されることが判っています。

 

持続的に投与されると骨がもろくなりますが、1日1回の間欠的な投与で骨が丈夫になります。

テリパラチドは半減期が1時間未満と短い薬剤です。

 

間欠的投与で骨吸収を行う破骨細胞が活性化しますが、骨形成を行う骨芽細胞が作られるようになります。

 

そして骨芽細胞が作られ骨形成を行う作用の方が促進されるため骨が丈夫になります。

 

テリパラチドは皮下注射後、短時間で効果が消えてしまうため間欠的投与が可能となっています。

 

では、注意点についてみていきましょう。

 

テリパラチド(フォルテオ)の適応は

 骨折の危険性の高い骨粗鬆症

となっています。

 

効果がとても強力で高い骨密度上昇、骨折抑制効果を示しますが非常に高価であり、特に骨折の危険性の高い患者への薬剤になります。

 

またテリパラチド(フォルテオ)が使用できる期間は24ヶ月(2年間)までとなっています。

 

途中で中断をしていても、合計の期間で24ヶ月以上は投与できません。

 

動物実験において骨肉腫の発生が報告されており、人での関連性は不明ですが投与期間に制限がかけられています。

高価な薬剤ですので医療費の面もあるかもしれませんね。

 

保管は凍結を避け2~8℃の遮光保存です。

冷蔵庫に入れておけば問題ありませんね。

 

そしてインスリン製剤と異なり、使用開始してからも保管は2~8℃の遮光保存、同じ保管方法を続けます。

 

持ち運びにはフォルテオ専用の保冷ポーチがありますので、それを使うと便利です。

 

注射針はインスリン製剤と同じ「JIS T3226-2 に準拠したA型専用注射針」を使用できます。

ナノパスニードルやペンニードルなどですね。

 

初回のみ空打ちを行いますが、二日目からは必要ありません。

毎回空打ちを行ってしまうと薬液が不足してしまいます。

 

注射部位はお腹、太ももで、毎回ずらすように指導します。

1本で28日間使用できます。

 

テリパラチドにはフォルテオの他、テリボンもあります。

これは1週間に1回病院で注射を行ってもらう製剤で、こちらも投与は24ヶ月までとなっています。

 

テリボンについてもいずれまとめてみたいと思います。

ここまでご覧いただきありがとうございました。

 

 

  まとめ

・テリパラチド(フォルテオ)が使用できるのは24ヶ月(2年間)まで

・保管は凍結を避け2~8℃の遮光保存(使用開始後も冷所保管)

 ・空打は初回のみ、1本で28日間使用できる