薬剤師いんふぉ

薬剤師の学習記録です

ラモトリギン(ラミクタール)の用法用量

ラモトリギン(ラミクタール)の作用機序や副作用についてこちらにまとめました。

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ラモトリギンにはもう一つ注意点があり、併用する薬剤で用法用量が変わるという点です。

 

適応症は以下のようになっています。

てんかん患者の下記発作に対する単剤療法

  部分発作(二次性全般化発作を含む)

  強直間代発作

  定型欠神発作

・他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の下記発作に対する抗てんかん薬との併用療法

  部分発作(二次性全般化発作を含む)

  強直間代発作

  Lennox-Gastaut症候群における全般発作

双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制

 

定型欠神発作に用いる場合

15歳以上の患者における有効性及び安全性については確立しておらず、15歳未満で本剤の治療を開始した患者において、15歳以降も継続して本剤を使用する場合には、患者の状態を十分観察し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与します。

 

ラミクタールには以下の規格があります。

 ラミクタール錠25mg、100mg

 ラミクタール錠小児用2mg、5mg 

 

 

用法用量についてですが

 

      てんかん患者に使用する場合

     成人

   単剤療法の場合(定型欠神発作を除く)

・最初の2週間は1日25mgを1日1回、

・次の2週間は1日50mgを1日1回、

・5週目は1日100mgを1日1回又は2回に分割。

・その後は、1~2週間毎に1日量として最大100mgずつ漸増する。

・維持用量は1日100~200mgとし、1日1回又は2回に分割。

・症状に応じて適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日量として最大100mgずつ、1日用量は最大400mgまでとし、いずれも1日1回又は2回に分割。

 

   バルプロ酸ナトリウムを併用する場合

・最初の2週間は1回25mgを隔日服用、

・次の2週間は1日25mg1日1回。

・その後は、1~2週間毎に1日量として25~50mgずつ漸増する。

・維持用量は1日100~200mgとし、1日2回に分割。

 

   バルプロ酸ナトリウムを併用しない場合

 ラモトリギンのグルクロン酸抱合を誘導する薬剤を併用する場合

・最初の2週間は1日50mgを1日1回、

・次の2週間は1日100mgを1日2回に分割。

・その後は、1~2週間毎に1日量として最大100mgずつ漸増する。

・維持用量は1日200~400mgとし、1日2回に分割。

 

 グルクロン酸抱合誘導薬以外の併用

・単剤療法の場合に従う

 

 

    小児

   単剤療法の場合(定型欠神発作に用いる場合)

・最初の2週間は1日0.3mg/kgを1日1回又は2回に分割

・次の2週間は1日0.6mg/kgを1日1回又は2回に分割

・その後は、1~2週間毎に1日量として最大0.6mg/kgずつ漸増する。

・維持用量は1日1~10mg/kgとし、1日1回又は2回に分割

・症状に応じて適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日量として最大0.6mg/kgずつ、1日用量は最大200mgまでとし、いずれも1日1回又は2回に分割

 

   バルプロ酸ナトリウムを併用する場合

・最初の2週間は1日0.15mg/kgを1日1回

・次の2週間は1日0.3mg/kgを1日1回

・その後は、1~2週間毎に1日量として最大0.3mg/kgずつ漸増する。

・維持用量は、バルプロ酸ナトリウムに加えて本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤を併用する場合は1日1~5mg/kgとし、本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤を併用していない場合は1日1~3mg/kgとし、1日2回に分割

・なお、1日用量は最大200mgまで

 

   バルプロ酸ナトリウムを併用しない場合

 ラモトリギンのグルクロン酸抱合を誘導する薬剤を併用する場合

・最初の2週間は1日0.6mg/kgを1日2回に分割

・次の2週間は1日1.2mg/kgを1日2回に分割

・その後は、1~2週間毎に1日量として最大1.2mg/kgずつ漸増する

・維持用量は1日5~15mg/kgとし、1日2回に分割

・なお、1日用量は最大400mgまで

 

 グルクロン酸抱合誘導薬以外の併用

バルプロ酸ナトリウムを併用する場合に従う

 

 

 

   双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制に使用する場合

  単剤療法の場合

・最初の2週間は1日25mgを1日1回

・次の2週間は1日50mgを1日1回又は2回に分割

・5週目は1日100mgを1日1回又は2回に分割

・6週目以降は維持用量として1日200mgを1日1回又は2回に分割

・症状に応じて適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日量として最大100mgずつ、1日用量は最大400mgまでとし、いずれも1日1回又は2回に分割

 

  バルプロ酸ナトリウムを併用する場合

・最初の2週間は1回25mgを隔日服用

・次の2週間は1日25mgを1日1回服用

・5週目は1日50mgを1日1回又は2回に分割

・6週目以降は維持用量として1日100mgを1日1回又は2回に分割

・症状に応じて適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日量として最大50mgずつ、1日用量は最大200mgまでとし、いずれも1日1回又は2回に分割

 

  バルプロ酸ナトリウムを併用しない場合

 ラモトリギンのグルクロン酸抱合を誘導する薬剤を併用する場合

・最初の2週間は1日50mgを1日1回

・次の2週間は1日100mgを1日2回に分割

・5週目は1日200mgを1日2回に分割

・6週目は1日300mgを1日2回に分割

・7週目以降は維持用量として1日300~400mgを1日2回に分割

・症状に応じて適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日量として最大100mgずつ、1日用量は最大400mgまでとし、いずれも1日2回に分割

 

 グルクロン酸抱合誘導薬以外の併用

・単剤療法の場合に従う

 

 

ラモトリギンはグルクロン酸抱合により尿中へ排泄されます。

バルプロ酸ナトリウムのようなグルクロン酸抱合を競合、阻害する薬剤と併用するとラモトリギンの血中濃度が上昇します。

反対に、グルクロン酸抱合を誘導する薬剤と併用した場合には、ラモトリギンの血中濃度は低下します。

 

 

  ラモトリギンとグルクロン酸抱合が競合する薬剤

バルプロ酸ナトリウムデパケン

 

  ラモトリギンのグルクロン酸抱合を誘導(促進)する薬剤

・フェニトイン(アレビアチン)

カルバマゼピンテグレトール

フェノバルビタール(フェノバール)

プリミドンプリミドン

・リファンピシン(リファジン)

・ロピナビル・リトナビル配合剤(カレトラ)

 

  ラモトリギンのグルクロン酸抱合に影響を及ぼさない薬剤

・アリピプラゾール(エビリファイ

・オランザピン(ジプレキサ

・ゾニサミド(エクセグラン)

・ガバペンチン(ガバペン)

・シメチジン(タガメット

・トピラマート(トピナ)

・プレガバリン(リリカ)

・リチウム(リーマス

・レベチラセタム(イーケプラ)

・ペランパネル(フィコンパ)

・ラコサミド(ビムパット)

 

ラモトリギンのグルクロン酸抱合に対する影響が明らかでない薬剤による併用療法では、バルプロ酸ナトリウムを併用する場合の用法・用量に従います。

 

  

  併用薬剤別ラモトリギン消失半減期(T1/2)

バルプロ酸ナトリウムなし         約31~38時間

 グルクロン酸抱合誘導薬剤なし   

 

バルプロ酸ナトリウム併用         約70時間

 

・グルクロン酸抱合誘導薬剤併用       約13時間

 バルプロ酸ナトリウムなし

 

 

腎機能が低下していると、代謝物(グルクロン酸抱合体)の排泄が低下し血中濃度が高くなりやすいです。

  15≦Ccr<60  : やや減量

  Ccr<15       : 50%に減量   が望ましいとされています。

 

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