ボリコナゾール(ブイフェンド)はトリアゾール系抗真菌薬であり、深在性真菌症の治療に使用されています。
併用禁忌薬
ボリコナゾールはCYP2C19、CYP2C9及びCYP3A4によって代謝されます。
これらの代謝酵素を阻害、誘導する薬剤や、これらの代謝酵素により代謝される薬剤のうち併用禁忌となっているものがあります。
・リファンピシン(リファジン)
CYP3A4の誘導により、ボリコナゾールのCmax、AUCが低下する
・リファブチン(ミコブティン)
CYP3A4の誘導により、ボリコナゾールのCmax、AUCが低下する
ボリコナゾールのCYP3A4阻害によりリファブチンのCmax、AUCが上昇する
・エファビレンツ(ストックリン)
CYP2C19及びCYP2C9の誘導により、ボリコナゾールのCmax、AUCが低下する
ボリコナゾールのCYP3A4阻害によりエファビレンツのCmax、AUCが上昇する
・リトナビル含有製剤(ノービア、カレトラ)
CYP2C19及びCYP2C9の誘導により、ボリコナゾールのCmax、AUCが低下する
・長時間作用型バルビツール酸誘導体
バルビタール、フェノバルビタール(フェノバール、トランコロンP、ヒダントール配合錠、ラボナ、イソミタール、アストモリジン配合胃溶錠)
これらの薬剤のCYP3A4の誘導により、ボリコナゾールの血中濃度が低下するおそれがある
・ピモジド(オーラップ)
ボリコナゾールがこれらの薬剤の代謝酵素(CYP3A4)を阻害することで、血中濃度が増加し、QT延長、心室性不整脈(torsades de pointesを含む)などの心血管系の副作用を引き起こすおそれがある。
・麦角アルカロイド
エルゴタミン(エルゴタミン酒石酸塩、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩)含有製剤(クリアミン配合錠、ジヒデルゴット)
ボリコナゾールがこれらの薬剤の代謝酵素(CYP3A4)を阻害することで、血中濃度が増加し、麦角中毒を引き起こすおそれがある。
ボリコナゾールがCYP3A4を阻害することで、血中濃度が増加し、作用の増強や作用時間延長を引き起こすおそれがある。
眼障害
ボリコナゾールは眼障害の報告が多くされている薬剤です。
視神経炎、視神経乳頭浮腫等の眼障害があらわれ、投与中止後も羞明、霧視、視覚障害等の症状が持続することがあります。
服用を中止してもこれらの症状が回復するまでは車の運転などは控えるように指導します。
目がまぶしい、ぼやける、見え方がおかしい、といったことがないか気をつけるように事前に説明しましょう。
光線過敏症
人によっては光線過敏症を起こすことがあるので、服用中は「長袖の衣服、帽子等の着用により日光の照射を避け、日焼け止め効果の高いサンスクリーンの使用により紫外線の照射を避けること」とされています。
光線過敏症の症状があらわれた際はすぐに服用を中止します。
やむを得ず服用を続ける場合は、皮膚科を定期的に受診し、状態を診てもらいながら服用を継続します。
ボリコナゾール長期服用中に、光線過敏性反応を発現している患者で皮膚扁平上皮癌及び悪性黒色腫が発生したとの報告があります。
肝機能障害
重篤な肝障害(肝炎、黄疸、肝不全、肝性昏睡等)があらわれることがあり、死亡例も報告されています。
定期的な肝機能の検査を行い、倦怠感や体の痒み、発熱、皮膚や目が黄色くなるといった症状が出た際は連絡するように指導します。
ボリコナゾールのその他の点についてはこちらです。
まとめ
・CYP2C19、CYP2C9、CYP3A4を阻害、誘導する薬剤や、これらの代謝酵素により代謝される薬剤は併用禁忌のものがある
・眼障害の副作用報告が多い
・光線過敏症の対策として紫外線の照射を避ける
・重篤な肝障害の発現に注意する