フルコナゾール(ジフルカン)の併用禁忌薬、腎機能に応じた用量調節
フルコナゾール(ジフルカン)はトリアゾール系抗真菌薬であり、深在性真菌症の治療に使用されています。
適応症
・真菌血症、呼吸器真菌症、消化管真菌症、尿路真菌症、真菌髄膜炎
・造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防
・カンジダ属に起因する腟炎及び外陰腟炎
用法用量
成人
カンジダ症
50〜100mgを1日1回
クリプトコッカス症
50〜200mgを1日1回
なお、重症又は難治性真菌感染症の場合には、1日量として400mgまで増量できる。
造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防
400mgを1日1回
カンジダ属に起因する腟炎及び外陰腟炎
150mgを1回
小児
カンジダ症
フルコナゾールとして3mg/kgを1日1回
クリプトコッカス症
フルコナゾールとして3〜6mg/kgを1日1回
なお、重症又は難治性真菌感染症の場合には、1日量として12mg/kgまで増量できる。
造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防
フルコナゾールとして12mg/kgを1日1回
なお、患者の状態に応じて適宜減量する。
ただし、1日量として400mgを超えないこと。
新生児
生後14日までの新生児には、フルコナゾールとして小児と同じ用量を72時間毎に投与する。
生後15日以降の新生児には、フルコナゾールとして小児と同じ用量を48時間毎に投与する。
作用機序
フルコナゾールはトリアゾール系抗真菌薬に分類されます。
フルコナゾールは真菌細胞膜の主要構成成分であるエルゴステロールの合成を阻害して抗真菌作用を発揮します。
エルゴステロールの前駆体であるラノステロールまたはエブリコールの14α位の脱メチル化に関与する酵素(C-14α-ラノステロール脱メチル酵素)を阻害して、エルゴステロールの合成を阻害しています。
併用禁忌薬
フルコナゾールがCYP3A4を阻害することで、血中濃度が増加し、作用の増強や作用時間延長を引き起こすおそれがある。
・麦角アルカロイド
エルゴタミン(エルゴタミン酒石酸塩、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩)含有製剤(クリアミン配合錠、ジヒデルゴット)
アゾール系抗真菌薬がこれらの薬剤の代謝酵素(CYP3A4)を阻害することで、血中濃度が増加し、麦角中毒を引き起こすおそれがある。
・ピモジド(オーラップ)
フルコナゾールがこれらの薬剤の代謝酵素(CYP3A4)を阻害することで、血中濃度が増加し、QT延長、torsades de pointesを引き起こすおそれがある。
・アスナプレビル含有製剤(スンベプラ、ジメンシー配合錠)
フルコナゾールがこれらの薬剤の代謝酵素であるCYP3Aを阻害し、血中濃度が増加して肝胆道系の副作用が発現し、また重症化するおそれがある。
・アゼルニジピン含有製剤(カルブロック、レザルタス配合錠)
フルコナゾールがこれらの薬剤の主たる代謝酵素のCYP3A4を阻害することで、血中濃度が増加することがある。
・ロミタピド(ジャクスタピッド)
フルコナゾールがこれらの薬剤の主たる代謝酵素のCYP3A4を阻害することで、血中濃度が増加することがある。
・ブロナンセリン(ロナセン)
フルコナゾールがこれらの薬剤の主たる代謝酵素のCYP3A4を阻害することで、血中濃度が増加することがある。
腎機能に応じた用量調節
フルコナゾールの未変化体の尿中排泄率は約70%であり大部分が腎臓から排泄される腎排泄型の薬剤です。
腎障害患者では用量調節が必要になります。
Ccr>50 通常用量
Ccr≦50(透析患者を除く) 半量
透析患者 透析終了後に通常用量
血液透析により約50%近くが除去されます。
カンジダ属に起因する腟炎及び外陰腟炎患者に1回投与する場合は、用量調整の必要はありません。
まとめ
・フルコナゾールはCYP3A4を阻害するため、この代謝酵素により主に代謝される薬剤の血中濃度を上昇させるおそれがある
・フルコナゾールは腎排泄型の薬剤であり、腎機能に応じた用量調節が必要である