坐薬は肛門から投与し作用させる薬剤です。
痔の治療で用いられる局所に作用するものと、解熱や鎮痛などの全身に作用するものがあります。
内服薬に比べて、
・肝臓で分解を受けずに、すぐに血中に吸収されるので、効果の発現が速い
・胃粘膜への刺激がなく、胃障害を起こしにくい
・体調により内服できない方、内服を嫌がる小児などにも用いやすい
・食事の影響を受けにくい
といったメリットがあります。
小児でよく処方される坐薬に
・アンヒバ坐剤(一般名:アセトアミノフェン)
があります。
アンヒバ坐剤は解熱・鎮痛薬
ナウゼリン坐剤は制吐剤です。
(アンヒバ坐剤の他、アルピニー坐剤、カロナール坐剤も同成分の坐剤です)
この2種類が処方された場合、使用順はどうすれば良いでしょうか?
2種類以上の坐薬を続けて使う場合は、坐薬の基剤から使用する順番を決めます。
先に水溶性基剤であるナウゼリン坐剤から使用し、
30分以上間隔をあけて脂溶性基剤のアンヒバ坐剤を使用します。
水溶性基剤から溶出したナウゼリン(一般名:ドンペリドン)は脂溶性であるため、
アンヒバ坐剤から使用すると、直腸粘膜から吸収される前に、直腸内に残っているアンヒバ坐剤の脂溶性基剤に取り込まれてしまい吸収が遅れてしまうからです。
他の坐剤の組み合わせでも同じ考え方であり、
基剤が違う場合は先に水溶性基剤の坐薬を投与し、30分以上間隔をあけてから脂溶性基剤を投与します。
基剤の種類が一緒であれば、早く効かせたい方を投与して、5分程度待ってから次の坐薬を使用します。
(便秘薬の坐剤は、先に投与した坐剤の吸収を考慮し1時間以上間をあけて一番最後に投与します。)