薬剤師いんふぉ

薬剤師の学習記録です

ノルスパンテープ(ブプレノルフィン)の注意点

ノルスパンテープ(ブプレノルフィン)は経皮吸収型の持続性疼痛治療剤です。

 

作用機序についてはこちらです。

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使い方についてです。

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今回は注意点についてまとめてみました。

 

 

 貼付部位の皮膚障害

ノルスパンテープを貼り替える際は、毎回場所を変えるようにして、かぶれ(接触皮膚炎)を防ぎます。

それでもかぶれが生じてしまった場合は、症状に応じた外用ステロイド(strong~very strong)や抗アレルギー剤の内服で治療をします。

重症例ではさらに強い外用ステロイド(strongest)やステロイドの内服で治療する場合もあります。

 

 

 入浴

ノルスパンテープを貼ったまま入浴は可能です。

ですが、貼付部位に熱が加わると吸収量が増え、血中濃度の上昇により副作用が発現するおそれがあります。

 

ですので、熱い温度での入浴や、シャワー等で貼付部位に直接長時間お湯をかけ続けないなどの注意が必要です。

 

同様の理由で、電気パッドや湯たんぽ、サウナなど熱源が直接貼付部位に触れないようにします。

また、発熱や激しい運動で体温が上昇した場合も、吸収量が増えてしまうおそれがあります。

 

 

 悪心、嘔吐

ノルスパンテープによる悪心、嘔吐は初回投与時や増量時に生じやすいです。

投与を継続すると耐性が形成され、症状が消失すると言われています。

 

投与初期や増量時には制吐剤を併用しておくことが望ましいです。

 

食後の悪心にはナウゼリンドンペリドン)やプリンペラン(メトクロプラミド)も効果的ですが、オピオイドによる悪心にはノバミン(プロクロルペラジン)のような中枢性制吐剤が効果的です。

 

 

 

 

 

 めまい、傾眠

オピオイド作動薬では、めまいやふらつきが生じることがあります。

 

めまい等が発現した際、薬を増量せずに継続、または減量をすると数日で消失すると言われています。

傾眠についても、軽度であれば継続したままの経過観察で、1週間程度で改善がみられるそうです。

 

しかし、ノルスパンテープ使用中はめまいや傾眠が生じる可能性があるため、自動車の運転など危険を伴う機械の操作をしないように指導します。

 

 

 

 MRI

MRI検査を受けるときは、前もってノルスパンテープを剥がすようにします。

貼ったままで検査を受けると、貼付部位を火傷してしまうおそれがあります。

 

 

 

 効果発現時間

 初回貼付から72時間後までのあいだで、血中濃度が徐々に上昇するため、鎮痛効果を得るまでに時間がかかります。

そのことを前もって患者さんにお伝えしておく必要があります。

 

 

 

  他のオピオイド鎮痛剤からの切り替え

・他のオピオイド鎮痛剤 → ノルスパンテープ

使用中のオピオイド鎮痛剤を中止し、ノルスパンテープ5mgから開始します。

切り替え前に使用していたオピオイド鎮痛剤の効果時間を考慮して、ノルスパンテープの開始時期を決定します。

 

・ノルスパンテープ → 他のオピオイド鎮痛剤

ノルスパンテープを剥がして、24時間以上の間隔をあけて開始します。

切り替え直後は受容体にブプレノルフィンが作用しており、他のオピオイド鎮痛剤の効果が十分に得られない場合があります。 

 

 

 

 

 

 

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