薬剤師いんふぉ

薬剤師の学習記録です

エレンタールの特徴、調整方法

エレンタール配合内用剤は消化をほとんど必要としない成分栄養剤です。

 

  特徴

エレンタールは消化をほとんど必要としない成分で構成されており、低残渣、易吸収性の経腸的高カロリー栄養剤です。

(残渣:食物のうち消化吸収されないもの)

 

アミノ酸、糖質、脂質、電解質、ビタミンなどを含んだ成分栄養剤です。

蛋白質は既にアミノ酸に分解されているため、消化の必要はありません。

腸を刺激する脂肪も必要最小限の量です。

 

ほぼ吸収される成分ですので便の量は少なくなります。

 

腸を休ませる必要がある手術前後やクローン病潰瘍性大腸炎のような消化管疾患の栄養管理に適しています。

 

適応症は下記のような、消化されていない蛋白質を含む経管栄養剤の摂取が難しい場合に使用するものとなっています。

 

 

  適応症

未消化態蛋白を含む経管栄養剤の適応困難時の術後栄養管理

腸内の清浄化を要する疾患の栄養管理

術直後の栄養管理

消化管異常病態下の栄養管理(縫合不全、短腸症候群、各種消化管瘻等)

消化管特殊疾患時の栄養管理(クローン氏病、潰瘍性大腸炎、消化不全症候群、膵疾患、蛋白漏出性腸症等)

高カロリー輸液の適応が困難となった時の栄養管理(広範囲熱傷等)

 

 

 

  用法用量

80gを常水又は微温湯に溶かして300mLとします。

これで1kcal/mLとなります。

 

初期用量:1日量の約1/8(60〜80g)を所定濃度の約1/2(0.5kcal/mL)で投与開始し、徐々に濃度や投与量を増加する。

 

標準量:1日480〜640g(1,800〜2,400kcal)

 

 

 

  調整方法

エレンタール配合内用剤には、1袋80gのものと、プラスチック容器入り1本80g

のものがあります。

 

 1袋80g

溶解容器に水またはぬるま湯(30~40℃)を約250ml入れます。

エレンタール1袋(80g)を入れ、ふたをしっかり閉めて、よく振って溶かします。

その際に好みのフレーバーを入れることもできます。

これで約300ml(1kcal/ml)の溶液になります。

 

 1本80g

アルミ袋を開けてボトルを取り出します。

水またはぬるま湯(30~40℃)を容器の半分くらいまで入れます。

ふたを閉めてボトルを振って粉を溶かします。

約300mlのラインまで水またはぬるま湯を入れて、もう一度振り混ぜれば1kcal/mlの溶液となり完成です。

 

 

 

  注意点

エレンタール高温の水で溶解しないようにします。

含まれているアスコルビン酸の分解を防ぐためです。

 

経管投与を行う際、投与濃度が濃すぎたり、投与速度が速すぎたりすると、投与終了後にダンピング症候群様の低血糖が生じるおそれがります。

投与濃度や投与速度に注意が必要です。

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長期間エレンタールのみで栄養を摂っている場合は、電解質やビタミン、必須微量元素が欠乏する可能性があります。

 

微生物の増殖を防ぐため、エレンタールは服用時に溶解し、溶解後12時間以内に服用します。

溶解後やむを得ず、すぐに服用することができない場合は、冷蔵庫(5℃前後)に入れ、24時間以内に服用します。

 

エレンタール1袋、1本あたりの熱量は300kcalです。

 

下痢をしてしまう場合は、投与速度や温度に注意します。

投与速度速すぎたり、製剤が冷えすぎていた場合は下痢が生じやすいです。

 

 

 

エレンタールを飲みやすくする方法はこちらです。

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