副甲状腺から分泌される副甲状腺ホルモン(PTH:パラトルモン)は血液中のカルシウムやリンの濃度を調節しています。
腎機能が低下してくるとビタミンDの活性化が行えず、血中カルシウム濃度が低下します。
また、リンの排泄は低下しており血液中のリンは増加した状態となります。
低カルシウム血症、高リン血症により副甲状腺ホルモンの分泌が亢進されます。
副甲状腺ホルモン(PTH)は骨を溶かして血液中のカルシウムを増やそうとするため、骨密度の低下や石灰化が生じるおそれがあります。
また、リンの排泄を促進する働きもありますが、腎機能が低下した患者さんではPTHが作用してもリンの排泄は増えず、PTHの分泌だけが続いてしまいます。
長期間、副甲状腺への刺激が続き、副甲状腺が腫大してしまいPTHの分泌が亢進した状態を二次性(続発性)副甲状腺機能亢進症と言います。
二次性副甲状腺機能亢進症の治療薬として、カルシウム受容体作動薬があります。
副甲状腺の表面にカルシウム受容体があり、そこで血液中のカルシウム濃度を感知しています。
血液中のカルシウム濃度が低下すると受容体への刺激が減り、カルシウム濃度を上げるためにPTHの分泌が亢進されます。
カルシウム受容体刺激薬は、カルシウムの代わりに副甲状腺のカルシウム受容体を刺激し、副甲状腺にカルシウム濃度が増えたように感知させます。
これにより副甲状腺からのPTH分泌が抑制され、副甲状腺の細胞増殖による過形成も抑えることができます。
低カルシウム血症を治療する活性型ビタミンD3製剤が使用される場合もありますが、カルシウムの吸収が亢進し高カルシウム血症となるおそれもあります。
カルシウム受容体作動薬では、カルシウムの過剰吸収の心配がありません。
カルシウム受容体作動薬には、
・シナカルセト(レグパラ) 内
・エテルカルセチド(パーサビブ) 注
・エボカルセト(オルケディア) 内
があります。
シナカルセト(レグパラ)とエボカルセト(オルケディア)の違いについてはこちらです。
このように、カルシウム受容体作動薬は血中カルシウム濃度を上昇させずにPTH分泌を抑制することができます。