近年、抗がん薬は様々な作用機序をもつものが次々と登場しています。
従来からの抗がん薬もキードラックとして依然使用されており、治療の選択が大きく増えています。
抗がん薬は主に以下の4種類に大きく分類することができます。
・殺細胞性抗がん薬
・分子標的薬
・ホルモン療法薬
・免疫チェックポイント阻害薬
殺細胞性抗がん薬
がん細胞を攻撃して、がん細胞を殺傷したり増殖を抑えます。
正常細胞も攻撃してしまうため、細胞分裂が活発な臓器は影響を受けます。
(骨髄抑制、脱毛、下痢、悪心、嘔吐など)
選択性が低く正常細胞も攻撃してしまいますが、複数のがんに対して使用できるものが多く、全身に広がったがん細胞に作用します。
以前は抗がん薬と同じ意味でしたが、分子標的薬が登場してからは区別されています。
化学療法薬と呼ばれることもあります。
・代謝拮抗薬
・アルキル化薬
・白金製剤
・微小管阻害薬 等
分子標的薬
がん細胞が特異的に発現している分子を標的にして攻撃します。
増殖を開始するシグナル伝達を抑え、がん細胞の増殖や血管新生を阻害したりします。
殺細胞性抗がん薬が細胞分裂している がん細胞を攻撃するものでしたが、分子標的薬は細胞分裂のシグナルを抑えて、細胞分裂を起こさせないようにする薬です。
正常細胞への影響は少ないと考えられていますが、EGFRやHER2といった標的とする分子ごとに皮膚障害や心筋障害といった特徴的な副作用が生じてしまうことがあります。
・HER2阻害薬
・EGFR阻害薬
・マルチキナーゼ阻害薬 等
ホルモン療法薬
がん細胞の増殖を促すホルモンの働きを抑えることで、がん細胞の増殖を抑制します。
ホルモン関連の副作用が生じることがありますが、重大な有害事象は少ないと言われています。
・アロマターゼ阻害薬
・抗エストロゲン薬
・抗アンドロゲン薬 等
免疫チェックポイント阻害薬
免疫機能を回復させることで、免疫によるがん細胞の排除が行われるようになります。
がん細胞は免疫にブレーキをかけて、攻撃されないようにしています。
このブレーキを外すことで、がん細胞に対して免疫が本来の働きをするようになります。
甲状腺機能障害、神経障害、皮膚障害、重症筋無力症などの、活性化したT細胞による副作用が報告されています。