薬剤師情報局

薬剤師の学習記録です

ラコサミド(ビムパット)の作用機序

ラコサミド(ビムパット)は新世代抗てんかん薬です。

 

 

 

適応症

てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)

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用法用量

成人

1日100mg、1日2回分服より開始

その後1週間以上間隔をあけて増量し、維持用量1日200mg、1日2回分服

症状により1日400mgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として100mg以下ずつ行う

 

小児

4歳以上の小児はラコサミドとして1日2mg/kgより服用を開始、

その後1週間以上の間隔をあけて1日用量として2mg/kgずつ増量し、

維持用量を体重30kg未満の小児は1日6mg/kg、

     体重30kg以上50kg未満の小児は1日4mg/kgとする。

いずれも1日2回に分けて経口服用する。

なお、症状により体重30kg未満の小児は1日12mg/kg、体重30kg以上50kg未満の小児は1日8mg/kgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として2mg/kg以下ずつ行うこと。

ただし、体重50kg以上の小児では、成人と同じ用法・用量を用いること

 

 

 

作用機序

てんかん薬の作用機序は、「興奮シグナルを抑制」「抑制シグナルを増強」の2つに大きく分けることができます。

ラコサミドはグルタミン酸の放出を阻害する、興奮シグナルを抑制する作用をもちます。

グルタミン酸は興奮性の神経伝達物質です。

(抑制性の神経伝達物質GABAになります)

 

ラコサミドは電位依存性ナトリウムチャネルを遮断します。

Na+の流入が抑制され、活動電位が神経を伝わらなくなり、神経終末でのグルタミン酸の放出が抑えられて興奮が抑制されます。

 

Naチャネル遮断作用をもつお薬は他にもあります。

フェニトイン(アレビアチン)、カルバマゼピンテグレトール)、ラモトリギン(ラミクタール)、ゾニサミド(エクセグラン)などです。

 

同じ作用機序のようですが、Naチャネルは、急速な不活性化緩徐な不活性化の2種類のメカニズムで制御されています。

急速な不活性化は数ミリ秒以内だけNaチャネルが不活性化されNa+が流入できなくなります。

緩徐な不活性化は数秒またはそれ以上Naチャネルの不活性化が続くので、長い期間

Na+が流入できなくなります。

緩徐な不活性化は、てんかんのように持続するニューロンの過剰な興奮によっておこり、ニューロンの興奮性を調節しています。

 

ラコサミドはNaチャネルの緩徐な不活性化を選択的に促進させることで、活性化できるNaチャネルの割合を減らすことで、ニューロンの過剰な興奮を抑制しています。

従来のNaチャネルを遮断する薬は、急速な不活性化からの回復を遅らせることで効果を発揮していると考えられています。

 

このようにラコサミドは今までの抗てんかん薬とは異なる作用機序をもつお薬です。

 

 

副作用

副作用で比較的多いのは浮動性めまい、頭痛、傾眠、悪心、嘔吐等であり、複視や霧視などの眼障害も報告されています。

重大な副作用には徐脈があり、動機や息切れ、ふらつき、脈拍の異常にも注意するよう指導します。

 

 

腎機能障害のある患者

Ccr<30:1日最高用量300mgまで

       (小児:1日最高用量を25%減量)

血液透析を受けている患者:1日用量に加えて、透析後に最大で1回用量の半量の追加投与を検討する

 

 

肝機能障害のある患者

軽度、中等度の肝機能障害のある患者(Child-Pugh分類A及びB)

  1日最高用量300mgまで

  (小児:1日最高用量を25%減量)

 

重度の肝機能障害のある患者

  投与禁忌

 

 

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