ラモトリギン(ラミクタール)はてんかん、双極性障害の治療で使用されているお薬です。
適応症は以下のようになっています。
・てんかん患者の下記発作に対する単剤療法
部分発作(二次性全般化発作を含む)
強直間代発作
定型欠神発作
・他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の下記発作に対する抗てんかん薬との併用療法
部分発作(二次性全般化発作を含む)
強直間代発作
Lennox-Gastaut症候群における全般発作
・双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制
では、作用機序についてみていきましょう。
・Na+チャネル遮断作用
ラモトリギンがシナプス前細胞にあるNa+チャネルを遮断します。
これによりNa+の細胞内への流入が抑制されます。
Na+が流入し活動電位が生じてシナプス前膜まで伝わると、小胞体から伝達物質であるグルタミン酸が放出されますが、ラモトリギンのNa+チャネル遮断によりこの流れが抑えられます。
このように、ラモトリギンがNa+チャネルを遮断して神経膜を安定化させることで、グルタミン酸などの興奮性神経伝達物質の遊離を抑制することで効果を発揮します。
また、双極性障害に対して効果を示す機序は明らかになっていないようです。
感情を安定させる作用もあるため、精神症状のあるてんかん患者に使用されるケースもあるようです。
抗躁効果に比べて、抗うつ効果の方が高いと言われています。
副作用では、抗てんかん薬ですのでやはり
傾眠やめまいといった副作用が生じやすく注意が必要です。
その他に生じやすいとされているものは発疹、複視、頭痛、吐き気などの消化器症状や、肝機能障害といったものがあります。
重大な副作用としては
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
が報告されています。
高熱や眼の充血、唇や口内のただれ、皮膚や粘膜の水疱、喉の痛み、全身の倦怠感、リンパ節の腫れ等の症状が生じた場合は重篤な皮膚障害に至るおそれがあり、直ちに投与を中止する必要があります。
それ以外の皮膚障害では斑状、丘疹状の発疹として発現することが多いです。
発現率は投与開始から8週以内に高いと報告されています。
以下は皮膚障害の発現が上昇し、重篤化しやすいといわれている危険因子です。
・用法用量の非遵守
・バルプロ酸ナトリウム(デパケン)の併用
・他の抗てんかん薬での薬疹の既往歴
・13歳以下の小児
・投与8週以内
小児では発疹の初期症状が「感染」と誤診されやすく、ラモトリギン投与開始後8週以内に症状が現れた場合は注意が必要です。
またラミクタール錠は「チュアブル・ディスパーシブル錠と呼ばれる剤型で、水でそのまま飲んでも、噛み砕いて飲んでも、水に溶かして飲んでもよい剤型となっており、患者の状態に合わせた服用が可能な薬剤となっています。
その他に、ラモトリギンは併用薬により用量が変わる薬剤です。
それにつきましてはこちらにまとめています。
まとめ
・ラモトリギンはNa+チャネルを遮断し、グルタミン酸などの興奮性神経伝達物質の遊離を抑制することで効果を発揮する
・皮膚障害の発現、重症化に注意する
・投与開始から8週以内に皮膚障害が発現しやすいと言われている