てんかんは脳の一部の神経細胞が過剰に興奮することで、痙攣や意識を失ったりするなどのてんかん発作を起こす神経疾患です。
興奮を伝えるグルタミン酸神経系と、興奮を抑制するGABA神経系のバランスが崩れると、興奮の伝導が過剰となり、神経細胞の過剰な興奮が生じてしまいます。
てんかん発作型分類
てんかん発作は「部分発作」と「全般発作」の2つに大きく分けられます。
部分(焦点)発作
部分発作は、脳の一部の神経細胞が過剰に興奮して始まる発作です。
神経細胞の過剰な興奮は、脳の一部だけに限定されています。
発作時に意識があるかどうかで、「単純部分発作」と「複雑部分発作」に分けられます。
・単純部分発作:意識がある
運動発作(手足の痙攣、しびれ、失語)
感覚障害(視覚、聴覚、知覚などへの異常)
自律神経症状(悪心、皮膚の紅潮、失禁)
精神発作(記憶障害、不安感、幻聴)
意識ははっきりしているため、どんな症状があったか覚えています。
・複雑部分発作:意識がない
自動症(口をもぐもぐする、うろうろ歩く、体をバタバタさせる)
意識がなく、発作中のことを覚えていません。
単純部分発作から続いて起こることもあれば、複雑部分発作から始ま
ることもあります。
部分発作だけで治まることもあれば、部分発作から始まり、全般発作に進展(二次性全般化発作)するものもあります。
全般発作
全般発作は脳全体の神経細胞が過剰に興奮することで発作が生じます。
ほとんどの種類で意識消失を伴います。
・欠神発作
意識がはっきりしない、または消失してしまいます。
突然動作が止まったり、反応がなくなったりする症状が現れます。
数秒後に回復するため、周囲の人からは集中力が無い、注意散漫になっていると、てんかんだと気付かれずに勘違いされることもあります。
・ミオクロニー発作
全身、または手足などどこかの筋肉が一瞬ピクッと収縮する発作です。
連続して起こることもあります。
寝起きや寝入りに起こりやすいと言われています。
意識の消失が軽度に起こることもあります。
・脱力発作
突然、全身の筋肉の緊張が低下、消失する発作です。
全身の力が入らなくなるため、倒れ込んでしまいます。
瞬発的な脱力であり時間は短いですが、怪我をしてしまうおそれがあります。
・強直発作
突然意識を失い、手足を固く伸ばして全身が硬くなる状態が続きます。
その際、口も固く食いしばります。
全身のこわばりが生じる発作です。
・間代発作
膝など折り曲げた状態で、手足を一定のリズムでガクガクと曲げたり伸ばしたりする痙攣が生じます。
意識は消失しており、筋肉の収縮と弛緩が交互に起こります。
・強直間代発作
強直発作と間代発作が生じます。
まず強直発作が生じ、次に間代発作が生じて終息後、睡眠に移行することがあります。
その後は正常に戻りますが、筋肉痛や嘔吐、頭痛といった症状がみられる場合もあります。