エルカルチンFF(成分:レボカルニチン)はカルニチン欠乏症に使用される治療薬です。
カルニチンとは
カルニチンは必須アミノ酸のリジンとメチオニンから肝臓で合成されるアミノ酸です。
食品では主に肉類に多く含まれています。
L-カルニチンとD-カルニチンの2種類がありますが、有益な作用があるのはL-カルニチン(レボカルニチン)の方です。
カルニチンの働き
カルニチンは脂肪酸からエネルギーを造り出すのに必要な物質です。
細胞内のミトコンドリアで脂肪酸は代謝(燃焼)されエネルギーを産生していますが、カルニチンは脂肪酸をミトコンドリアに運ぶのをスムーズにしてくれます。
脂肪燃焼効果が認められてからは、サプリメントとしても利用されるようになりました。
カルニチンが不足すると
カルニチンが不足してしまうと、筋肉で十分なエネルギーを造ることができなくなってしまいます。
筋力低下や、こむら返り、筋肉痛などの症状が生じやすくなります。
その他に、低血糖や心筋症、脳症、精神変調などを引き起こすこともあり、重度のカルニチン欠乏症は危険です。
カルニチンが不足しやすい方
通常、カルニチンは体内で合成できるので不足することはない物質です。
加齢とともにカルニチンの生産は低下してしまいます。
カルニチンは肝臓や腎臓で産生されており、肝機能や腎機能が低下した方は欠乏症となってしまうことがあります。
また血液透析や食事制限などの医療行為でも生じてしまいます。
薬剤性のカルニチン欠乏症ではバルプロ酸ナトリウムやピボキシル基含有抗生剤(セフカペンピボキシル、セフジトレンピボキシル、オラペネムなど)によるものが知られています。
エルカルチンFFについて
レボカルチンFFは不足したカルニチンを体内に補充します。
適応症は「カルニチン欠乏症」となっており、原因に関係なく使用することができます。(当然、原因の特定は必要です)
用法用量についてです。
成人:レボカルニチンとして、1日1.5〜3gを3回。なお、患者の状態に応じて適宜増減する。
小児:レボカルニチンとして、1日体重1kgあたり25〜100mgを3回。なお、患者の状態に応じて適宜増減する。
錠剤は100mg、250mgの規格があります。
内用液や静注シリンジもあり、飲み込みが難しい方は内服液を、注射剤は低血糖症状や脳症が生じた際に使用されることがあります。
まとめ
・カルニチンが不足すると、筋肉症状が生じやすくなり重度の欠乏症は危険である
・腎機能、肝機能が低下していると欠乏症が生じやすくなり、薬剤性のものもある
・カルニチン製剤は錠剤、内服液、注射薬と剤型があり、嚥下の状態や用途によって使い分けることができる