トラゾドン(デジレル/レスリン)は抗うつ薬として使用されている薬剤です。
抗うつ薬には三環系、四環系、SSRI、SNRI、NaSSAと分類されますが、トラゾドンはそれらに属さない薬剤です。
トラゾドンの作用機序についてみていきましょう。
適応症
用法用量
1日75〜100mgを初期用量とし、1日200mgまで増量し、1〜数回に分割。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
これによりシナプス間隙のセロトニン濃度が高まり、抗うつ効果を発揮します。
ノルアドレナリンの再取り込み阻害作用はほとんど認められないことも解っています。
これだけ見ると、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と同じような薬の印象を受けますね。
トラゾドンにはもう一つ作用があります。
5-HT2受容体遮断作用です。
トラゾドンがシナプス後膜にある5-HT2受容体を遮断します。
5-HT2受容体は神経を興奮させる働きがあり、この受容体が遮断されることで、鎮静効果が現れます。
眠気の副作用が生じてしまうことが多いですが、これを応用して睡眠障害へ使用するケースもあります。
トラゾドンの服用により深い睡眠が増えると言われており、睡眠の質を高めることを期待し、他の睡眠薬で効果が不十分な方に追加されることもあります。
耐性や依存も生じにくいと言われており、継続使用しても問題が生じにくいです。
気分の落ち込みがあり、不眠の症状が出ている方には相性が良さそうですね。
トラゾドンは抗うつ剤の中では眠気の副作用が多い薬剤ですが、これを逆手に取って使用されることが多いようです。
最高血中濃度になるのが投与3~4時間後であり、半減期は6~7時間です。
就寝直前に飲むと、起床後に眠気が残る可能性もあり、少し早めに服用した方が丁度良さそうですね。
5-HT2受容体遮断作用により鎮静効果の他、不安や焦燥を和らげる効果も期待できます。
このような作用機序からトラゾドンはSARI(Serotonin Antagonist Reuptake Inhibitor:セロトニン拮抗・再取り込み阻害薬)と呼ばれることもあるようです。
まとめ
・トラゾドンにはセロトニン再取り込み阻害作用と5-HT2受容体遮断作用がある
・5-HT2受容体遮断作用による鎮静効果から睡眠障害に使用されることがある
・睡眠の質の向上を期待して、睡眠薬にトラゾドンを追加することがある