薬剤師いんふぉ

薬剤師の学習記録です

ウルソデオキシコール酸(ウルソ)による消化器症状

以前にウルソデオキシコール酸(ウルソ)による肝保護作用についてまとめました。

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そこでも述べたように、人の胆汁酸の一種であり、安全性が高く長期服用がしやすい薬剤ですが、副作用として消化器症状の報告があります。

下痢(1.91%)、悪心(0.28%)といったものですが、今回は少しだけこの点について触れたいと思います。

 

まず胆汁酸には5種類があります。

・コール酸(CA)

・ケノデオキシコール酸(CDCA)

・デオキシコール酸(DCA)

・リトコール酸(LCA)

・ウルソデオキシコール酸(UDCA)

 

     疎水性

 高  LCA > DCA > CDCA > CA > UDCA  低

 

これらはそれぞれ疎水性が異なります。

疎水性が高いものは、水とは混ざりにくく、油と混ざりやすくなる(親油性)ため、脂質と結合しやすくなり脂質を吸収する作用に優れます。

ですが、疎水性の高い胆汁酸は、細胞を障害してしまうこともあり細胞毒性が高いです。

 

疎水性が低く、細胞障害性も低いウルソデオキシコール酸の比率が増えることで肝臓が保護されます。

 

ですが、ウルソデオキシコール酸は胆汁酸の中で最も疎水性が低く、胆汁酸の中では脂質の吸収を助ける作用が弱めになります。

胆汁酸の中でウルソデオキシコール酸の割合が増えることで、脂質の吸収が低下する影響で消化器症状が生じると考えられています。

 

小腸の切除をしたり小腸の疾患があると胆汁酸の分泌が減ってしまいます。

ウルソデオキシコール酸には胆汁酸の分泌を増やす作用があるので、胆汁酸の分泌が十分ではない方の胆汁酸を増やすことができます。

胆汁酸は食物中にある脂質の吸収を補助する物質です。

胆汁酸が増えることで脂質の吸収がされやすくなりますが、もともと胆汁酸の分泌に問題が無い方には、この効果はあまり期待できません。

 

また胆汁酸には大腸の水分分泌を促進させる作用と、腸管運動を促進させる作用があり

ます。

 ウルソデオキシコール酸の投与により胆汁酸が増えることで、こうした作用から下痢や軟便といった症状が生じる場合もあります。

 

  まとめ

・ウルソデオキシコール酸は疎水性が低く、胆汁酸の中では脂質の吸収を助ける作用が弱めになる

・胆汁酸の比率が変わり、脂質の吸収が低下したりすると下痢症状が生じることがある

・胆汁酸が増えることで、大腸への水分分泌が増えたり、腸管運動が促進される 

 

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