メルカゾール(一般名:チアマゾール)は抗甲状腺薬であり、チラーヂン(一般名:レボチロキシン)は甲状腺ホルモン製剤です。
メルカゾールのような抗甲状腺薬は甲状腺ホルモンを作りにくくする薬であり、バセドウ病を含む甲状腺機能亢進症の治療に使用されています。
チラーヂンは甲状腺ホルモン製剤であり、不足している甲状腺ホルモンを補う薬で、甲状腺機能低下症などに使用されます。
反対の作用を持つこれらの薬剤ですが、一緒に使用される場合があります。
なぜこの2剤が併用されるのでしょうか?
甲状腺機能亢進症の治療で、甲状腺機能の変動が激しくコントロールしにくい場合にメルカゾールとチラーヂンが併用されるケースがあります。
メルカゾールとチラーヂンの併用はBlock & Replacement Regimen(ブロック補充療法)と呼ばれます。
甲状腺機能改善がみられたのでメルカゾールを減量すると、すぐに再び機能亢進状態に戻ったり、
反対に甲状腺機能亢進がみられたのでメルカゾールを増量すると、過剰な機能低下が生じてしまうなど変動が激しいケースに使用されます。
このようにメルカゾール単剤でのコントロールが難しい場合、まずメルカゾールで甲状腺機能亢進の状態を改善し、不足した甲状腺ホルモンをチラーヂンで補うという方法があります。
メルカゾールをやや多めに投与し、しっかりと甲状腺機能を抑制して、
甲状腺ホルモンが不足した場合は、正常化するのに必要なチラーヂンが投与されます。