シロスタゾール(プレタール)は抗血小板剤であり、脳梗塞の再発抑制や慢性動脈閉塞症にともなう足の痛みや潰瘍、冷感等の治療に使用されています。
シロスタゾールの適応症
・慢性動脈閉塞症に基づく潰瘍、疼痛及び冷感等の虚血性諸症状の改善
・脳梗塞(心原性脳塞栓症を除く)発症後の再発抑制
またシロスタゾールに適応がある脳梗塞の種類はアテローム血栓性脳梗塞とラクナ梗塞であり、心原性脳塞栓症には適応がありません。
慢性動脈閉塞症では動脈の閉塞や狭窄による虚血で痛みやしびれ、間欠性跛行や潰瘍などの障害が生じてしまいます。
間欠性跛行(かんけつせいはこう)は、歩行中に下肢の痛みやしびれが生じて、休みながらでないと歩けない状態のことです。
まず作用機序ですが、シロスタゾールは血小板でのPDEⅢ(ホスホジエステラーゼⅢ)を選択的に阻害します。
それによりcAMPが代謝されるのが抑制されて、cAMPが増加します。
このcAMPが血小板が活性化するのを抑えるので、血小板が凝集せず血が固まりにくくなります。
このようにしてシロスタゾールは血栓が形成されるのを抑えてくれます。
そしてこのシロスタゾールには抗血小板作用の他に、血管拡張作用ももつ薬剤です。
先ほど述べたPDEⅢ(ホスホジエステラーゼⅢ)が血管内皮細胞でも作用することで、同様にcAMPが増加します。
そして血管内皮細胞でcAMPが増加することにより血管が拡張します。
このようにシロスタゾールは血管拡張作用も有しており、血流量を増加させることが認められているので慢性動脈閉塞症にも使用されています。
抗血小板剤であるシロスタゾールには副作用として出血傾向がありますが、その他に頭痛やほてり、めまい、動悸、頻脈等の副作用もあります。
これはシロスタゾールが血管拡張作用をもつため、頭痛やほてり、めまい等の副作用が生じてしまうからです。
またPDEⅢが心臓で作用すると心拍数や心収縮力が増加し、動機や頻脈が生じてしまうことがあります。
これらは血管拡張作用をもつシロスタゾールの特徴的な副作用ですね。
他の抗血小板剤と比べて出血のリスクは低いとされていますが、こうした副作用が生じていないか気をつけなければいけません。
シロスタゾールの代謝にはCYP3A4やCYP2C19が関与しており、これらの代謝酵素を阻害する薬剤との併用には注意が必要です。
CYP3A4で代謝されるのでグレープフルーツジュースとの同時摂取も避けるように指導をしましょう。
まとめ
・シロスタゾールが血小板のcAMPを増やすことで血小板の凝集を抑え、血管のcAMPを増やすことで血管拡張作用を示す。
・シロスタゾールの血管拡張作用による、頭痛、ほてり、めまい等の副作用にも注意が必要。