薬剤師いんふぉ

薬剤師の学習記録です

アクテムラ(トシリズマブ)の作用機序

アクテムラ(一般名:トシリズマブ)はIL-6の働きを抑えるヒト化モノクローナル抗体薬であり生物学的製剤の一種です。

関節リウマチの治療等で使用されています。

 

  生物学的製剤とは

生物学的製剤とは、生体が作る物質を薬剤として利用したものです。

 

化学的に合成したもの(化合物)ではなく、生体由来の物質である抗体(蛋白質)やホルモン、サイトカインなどを人工的(遺伝子組み換え技術や細胞培養技術)に製造したものになります。

 

自己免疫疾患や癌などの治療に用いられています。

 

 

 

 

  モノクローナル抗体とは

抗体性製剤は生物学的製剤の一種です。

 

関節リウマチなどの自己免疫疾患に使用される抗体性製剤はモノクローナル抗体製剤に分類されます。

  

モノクローナル抗体は、1種類だけの抗体の集団のことです。

 

通常は、ある抗原に対して複数の抗体の集団(ポリクローナル抗体)が産生され抗原に対して様々に反応します。

 

モノクローナル抗体は、1種類だけの抗体の集団ですので、決まった抗原の特定の部位にしか反応することができないため、反応特異性がとても高いです。

そのため余計な反応を起こさず、期待する効果だけが得られます。

 

 

 

  ヒト化型抗体とは

アクテムラはヒト化型抗体薬です。

 

抗体製剤には

マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体があります。

 

マウス抗体は人体に入ると異物と認識されてアレルギーを起こす可能性があります。

キメラ型はマウス由来とヒト由来の抗体が混ざったものです。

 

ヒト型に近くなるほど安全性が高いと言われています。

 

 

 

  炎症性サイトカインとは

サイトカインとは細胞から分泌される蛋白質であり、細胞同士の情報伝達のような役割をしており、免疫反応の増強や抑制、細胞増殖などに関与しています。

 

炎症性サイトカインとは、身体の様々な炎症反応を引き起こすサイトカインのことです。

腫瘍壊死因子(TNT)、インターロイキン(IL-1、6、8)等があります。

 

 

 

  アクテムラ(トシリズマブ)の作用機序

アクテムラは細胞表面にあるインターロイキン6(IL-6)受容体に結合することで、IL-6が受容体に結合するのを阻害します。

 

IL-6は炎症に関与するサイトカインであり、関節リウマチなどの免疫疾患では体内で大量に作られています。

 

アクテムラは炎症を引き起こすIL-6の働きを阻害することで、免疫機能を抑制して炎症を改善します。

 

 

アクテムラの剤型には

・点滴静注用

・皮下注シリンジ

・皮下注オートインジェクター

があり、適応症も異なります。

 

 

 

 

 

 

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