薬剤師情報局

薬剤師の学習記録です

ノルスパンテープ(ブプレノルフィン)の作用機序

ノルスパンテープ(ブプレノルフィン)は経皮吸収型の持続性疼痛治療剤です。

 

非麻薬性オピオイド鎮痛薬ですが、劇薬、第2種向精神薬に分類されます。

 

 

  適応症

オピオイド鎮痛剤で治療困難な下記疾患に伴う慢性疼痛における鎮痛

・変形性関節症

・腰痛症

 

 

  用法用量

前胸部、上背部、上腕外部又は側胸部に貼付し、7日毎に貼り替えて使用する。
初回貼付用量は5mgとし、その後の貼付用量は患者の症状に応じて適宜増減するが、20mgを超えないこと。

 

 

  作用機序

ブプレノルフィンは μ 受容体に対して部分作動薬として作用し、κ 受容体に対しては拮抗薬として作用します。

 

鎮痛効果は主に μ 受容体に対して部分作動薬としての作用することによります。

 

脊髄後角の μ受容体に作用して、一次感覚神経からの神経伝達物質の遊離を抑制し、痛みの伝達が抑制されます。(上行伝導路を抑制

 

また中脳や延髄の抑制系GABA神経上の μ受容体を刺激すると、脱抑制により脊髄での痛覚伝導を抑制します。(下行性抑制系の亢進

 

さらに大脳皮質や視床の μ受容体を刺激して、2次ニューロン、3次ニューロンの伝達を抑制することで、痛覚情報伝達を抑制します。

 

モルヒネと類似した鎮痛作用を発揮しますが、部分作動薬であるため鎮痛効果は頭打ち(有効限界)になる薬剤です。

しかし、臨床用量での鎮痛効果では、まだ頭打ちにならないとも言われています。

 

部分作動薬は完全作動薬と異なり、受容体占有率が100%であっても反応率が100%とはならず、例えば50%程度で頭打ちになってしまいます。

投与量を増やし続けても鎮痛効果は頭打ちのままで、副作用だけが増えてしまうおそれがあります。

 

モルヒネよりも μ 受容体に受容体に対する親和性が高いため、モルヒネと併用すると競合して総合的な鎮痛効果が弱まるおそれがあるので注意が必要です。

 

ブプレノルフィンはモルヒネなどの麻薬と併用で拮抗するため、麻薬拮抗性鎮痛薬とも呼ばれます。

 


 

ノルスパンテープの使い方についてです。

yakuzaishi-info.hateblo.jp

 

 

注意点についてはこちらにまとめています。

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