微小管阻害薬は細胞分裂に重要な役割を果たしている微小管に作用して抗腫瘍効果を発揮する薬剤です。
微小管阻害薬の作用機序
微小管は細胞中に存在しており、主にチュブリンという蛋白質からなる管状の構造をしています。
細胞分裂や細胞内小器官の配置、細胞内物質輸送など、細胞機能の維持に関与しています。
細胞分裂の開始の際に、微小管にチュブリンが結合していき伸長します。
このチュブリンの微小管への結合を重合と言います。
細胞分裂が終了すると、微小管からチュブリンが離れていき短縮します。
このチュブリンが微小管から離れることを脱重合と言います。
微小管阻害薬は、この微小管の重合、もしくは脱重合を阻害することで細胞分裂を抑制します。
微小管阻害薬の種類
ビンカアルカロイド系
植物由来の薬剤です。
チュブリンの重合を阻害することで、細胞分裂が抑制されます。
・ビンクリスチン(オンコビン)
・ビンブラスチン(エクザール)
・ビンデシン(フィルデシン)
・ビノレルビン(ナベルビン)
タキサン系
こちらも植物由来のものや、植物から抽出した物質を半合成したものもあります。
チュブリンの脱重合を阻害することで、細胞分裂を抑制します。
・パクリタキセル(タキソール)
・ドセタキセル(タキソテール)
・カバジタキセル(ジェブタナ)
その他
海洋生物のクロイソカイメンから抽出された物質をもとに開発されました。
チュブリンの重合を阻害することで、細胞分裂を抑制します。
・エリブリン(ハラヴェン)