ケトプロフェンは抗炎症作用をもつNSAIDs(非ステロイド抗炎症薬)であり、外用薬として使用されています。
このケトプロフェンを使用する際は副作用の光線過敏症に注意するよう喚起されています。
ケトプロフェンを使用した部位に紫外線が当たることにより、痒みや湿疹、紅斑、刺激感、水疱、浮腫等の症状が生じ、重篤化すると全身に皮膚炎の症状が広がってしまいます。
この光線過敏症の発現を防ぐために重要なのが遮光です。
貼付部位を直接日光に当てないために、長袖長ズボンやサポーターなどで患部を覆うようにして紫外線を遮るようにします。
使用中は戸外での活動も控えるようにするのが望ましいです。
白い生地や薄手の服では紫外線を透過してしまいますので色の濃い服やサポーターを使用するようにします。
また曇りの日でも紫外線は降り注いでおり、晴れの日と同じように衣服やサポーターで患部を覆うようにします。
そして重要なのが、貼付後数日してから光線過敏症が発現することもあるので、剥がしてからもしばらくは遮光をしておくことが必要になります。
メーカーは剥がしてから少なくとも4週間は紫外線を当てないようにすることとしています。
もし光線過敏症が生じてしまった場合はすぐに貼付剤を剥がし、患部を遮光し増悪しないようにするとともに、必要であれば外用ステロイド等で適切な治療を行います。
またケトプロフェンは
チアプロフェン酸(スルガム)、スプロフェン(スルプロチン/スレンダム)、フェノフィブラート(リピディル)並びにオキシベンゾン及びオクトクリレンを含有する製品(サンスクリーン、香水等)に対して過敏症の既往歴のある患者
にも使用禁忌となっています。
これらの化学構造がケトプロフェンに類似しており交叉感作性があるためです。
交叉感作性とはアレルギーを起こした物質と似た構造であると、同じ様にアレルギー反応を起こしてしまうことをいいます。
ケトプロフェンによる光線過敏症を防ぐために、衣服やサポーターの使用が困難な場合にはサンスクリーン剤(日焼け止め)の使用も効果的ですが、以前にオキシベンゾンやオクトクリレンを含有している日焼け止めでアレルギーを起こしたことがある方は、ケトプロフェンでもアレルギーが起こりやすい方であり注意が必要です。
ちなみに光線過敏症の原因は主にUVAであるとされており、UVAからしっかりと守る日焼け止めを選ぶことが重要です。
ケトプロフェン(モーラス)はとても使用されている薬剤ですが、湿布だからと軽く考えずに適切な指導を患者に行うことが必要な薬剤です。
まとめ
・ケトプロフェンによる光線過敏症を防ぐため、貼付部位はサポーターや色の濃い服で遮光するようにする
・湿布を剥がしてからも4週間は遮光する
・曇りの日も遮光をする