ケトプロフェンは抗炎症作用をもつNSAIDs(非ステロイド抗炎症薬)であり、外用薬として使用されています。
このケトプロフェンを使用する際は副作用の光線過敏症に注意するよう喚起されています。
ケトプロフェンを使用した部位に紫外線が当たることにより、痒みや湿疹、紅斑、刺激感、水疱、浮腫等の症状が生じ、重篤化すると全身に皮膚炎の症状が広がってしまいます。
この光線過敏症の発現を防ぐために重要なのが遮光です。
貼付部位を直接日光に当てないために、長袖長ズボンやサポーターなどで患部を覆うようにして紫外線を遮るようにします。
ケトプロフェンと光線過敏症についてはこちらにまとめています。
またケトプロフェンは
チアプロフェン酸(スルガム)、スプロフェン(スルプロチン/スレンダム)、フェノフィブラート(リピディル)並びにオキシベンゾン及びオクトクリレンを含有する製品(サンスクリーン、香水等)に対して過敏症の既往歴のある患者
にも使用禁忌となっています。
これらの化学構造がケトプロフェンに類似しており交叉感作性があるためです。
交叉感作性とはアレルギーを起こした物質と似た構造であると、同じ様にアレルギー反応を起こしてしまうことをいいます。
ケトプロフェンによる光線過敏症を防ぐために、衣服やサポーターの使用が困難な場合にはサンスクリーン剤(日焼け止め)の使用も効果的ですが、以前にオキシベンゾンやオクトクリレンを含有している日焼け止めでアレルギーを起こしたことがある方は、ケトプロフェンでもアレルギーが起こりやすい方であり注意が必要です。
紫外線吸収剤であるオキシベンゼンやオクトクリレンはケトプロフェンと化学構造が似ており、どちらかでアレルギーを起こした方は、もう一方でもアレルギーを起こす可能性が高く、日焼け止めを使用する際はこれらの成分を含まないものを使用しましょう。
ちなみに光線過敏症の原因は主にUVAであるとされており、UVAからしっかりと守る日焼け止めを選ぶことが重要です。
ケトプロフェンによる光線過敏症の副作用は5~8月に多いと言われており、紫外線が多く、衣服も薄くなりやすいこの時期には特に注意が必要となります。
そして湿布を剥がしてからも4週間は遮光するようにしましょう。
チアプロフェン酸(スルガム)、スプロフェン(スルプロチン/スレンダム)、フェノフィブラート(リピディル)の添付文書にも副作用の欄に光線過敏症の記載があります。
ケトプロフェン(モーラス)はとても使用されている薬剤ですが、湿布だからと軽く考えずに適切な指導を患者に行うことが必要な薬剤です。