薬剤師いんふぉ

薬剤師の学習記録です

糖代謝に影響を与えないスタチン

ストロングスタチンにはアトルバスタチン(リピトール)、ピタバスタチン(リバロ)、ロスバスタチン(クレストール)の3種類があります。

 

ストロングスタチンはLDLコレステロール30~40%低下させる、効果の強いスタチンです。

 

そのストロングスタチンですが、HbA1cを上昇させた報告のあるものがあります。

 

それはアトルバスタチン(リピトール)とロスバスタチン(クレストール)です。

 

ピタバスタチン(リバロ)ではHbA1c値の上昇はみられておらず、このことは製薬メーカーの興和も述べています。

ですので、ピタバスタチン(リバロ)は添付文書にも副作用の項目で血糖値上昇の記載がありません。

 

血糖値を上昇させる機序としては、スタチンがインスリン感受性とインスリン分泌を低下させることが原因と考えられているようです。

 

糖尿病患者にスタチンを使用する場合はピタバスタチン(リバロ)を選べば血糖値への影響は少なくなりそうですね。

またピタバスタチン(リバロ)はCYPによる代謝の関与が少ないため、多剤併用者にも使用しやすいです。

 

アトルバスタチン(リピトール)、ロスバスタチン(クレストール)はHbA1c値上昇の報告がありましたが、この2つのスタチンには尿酸値低下の報告があります。

 

これらの報告は、ストロングスタチンの比較試験である「PATROL試験」の結果から得られたものです。

 

ストロングスタチンよりも先に発売されていたスタチンはスタンダードスタチンと呼ばれ、プラバスタチン(メバロチン)、シンバスタチン(リポバス)、フルバスタチン(ローコール)とこちらも3種類あります。

 

LDL低下作用は15~20%程度と、作用の強さはストロングスタチンに比べると劣りますが、スタンダードスタチンでも目標達成できそうな方には今も使用されています。

 

スタンダードスタチンではプラバスタチン(メバロチンには副作用に血糖値上昇の記載がありません。

プラバスタチン(メバロチン)は腎排泄型の薬剤ですので、こちらも代謝酵素による相互作用を気にせず使用しやすいですね。

 

以上のことから血糖値を心配せず使いやすいスタチンはピタバスタチン(リバロ)、プラバスタチン(メバロチン)ということになるでしょうか。

 

スタチンには他にも代謝や排泄経路などの特徴があり、それについても今後まとめたいと思います。

 

ご覧いただきありがとうございました。

 

 

 

 

  まとめ

ストロングスタチンのうち、ピタバスタチン(リバロ)ではHbA1c値の上昇が見られなかった

・スタンダードスタチンのうち、プラバスタチン(メバロチン)ではHbA1cの上昇が見られなかった

ストロングスタチンを比較試験したPATROL試験が行われた