キネダック(エパルレスタット)はアルドース還元酵素阻害薬であり、糖尿病による末梢神経障害に使用されます。
適応症
糖尿病性末梢神経障害に伴う自覚症状(しびれ感、疼痛)、振動覚異常、心拍変動異常の改善(糖化ヘモグロビンが高値を示す場合)
用法用量
1回50mg 1日3回毎食前 適宜増減
糖尿病の3大合併症
・糖尿病神経障害
・糖尿病網膜症
・糖尿病腎症
糖尿病性末梢神経障害は糖尿病の3大合併症の1つです。
糖尿病性末梢神経障害では、しびれや疼痛、感覚の低下、心拍数の変動などを生じてしまいます。
高血糖の状態が長く続くと、ソルビトールという神経を傷害する物質が蓄積してしまいます。
また、毛細血管の血流が悪くなることで、神経細胞に必要な栄養素などが運ばれにくくなり、神経細胞が傷害されるとも言われています。
キネダックはアルドース還元酵素を阻害する薬剤です。
↑ ↑
【キネダックが阻害】
高血糖では大量のグルコースが細胞内に流入し、代謝を受けてソルビトールが蓄積してしまいます。
キネダックはアルドース還元酵素を阻害することで、グルコースが代謝を受けなくなりソルビトールの産生を抑制します。
このようにして、糖尿病性神経障害の自覚障害を改善し、神経機能の悪化を抑制します。
食前投与の理由
次に食前投与の理由についてです。
食後投与ではキネダックの吸収が低下してしまうことが解っています。
また、キネダックは血糖値が高いほど、アルドース還元酵素阻害作用が強くなります。
しかし、食後服用では最高血中濃度に達するまでの時間が長くなってしまい、食後の血糖値が高い時期にしっかりと薬が作用できなくなってしまいます。
これらの理由からキネダックは食前に服用するよう言われています。
尿の着色について
キネダックを服用すると尿が黄褐色又は赤色に着色することがあります・
錠剤は白色のフィルムコート剤ですが、原薬も黄色~だいだい色をしています。
尿中から排泄された代謝物も同じような色をしているため、尿が着色されます。
(キネダックは黄色を呈するロダニン骨格を基本にした誘導体であり、代謝された尿中排泄物もロダニン骨格をもっており、尿が黄褐色や赤色に変色させます。)
患者さんには薬の色なので心配ないことをお伝えするようにしましょう。