抗甲状腺薬は甲状腺ホルモンを作りにくくする薬であり、バセドウ病を含む甲状腺機能亢進症の治療に使用されています。
作用機序についてはこちらです。
抗甲状腺薬には
・メルカゾール(チアマゾール:MMI)
・プロパジール/チウラジール(プロピルチオウラシル:PTU)
の2種類があります。
この2剤の違いについてまとめてみました。
相対的力価
・メルカゾール(チアマゾール) 10~50
メルカゾールの方が相対的力価が高く、1錠当たりの効果も強いです。
・メルカゾール(チアマゾール) 6~8時間
・プロパジール/チウラジール(プロピルチオウラシル) 1~2時間
メルカゾールの方が半減期が長く、維持量を投与する場合1日1回でも効果が安定すると考えられます。
胎盤通過率
・メルカゾール(チアマゾール) 中
胎盤通過性などの点から、妊娠中はプロパジール/チウラジールが第一選択とされています。
乳汁移行率
・メルカゾール(チアマゾール) 高
メルカゾールは母乳中への移行が報告されており、乳児の甲状腺機能に影響を与えるおそれがあることから、授乳中はプロパジール/チウラジールが選択されます。
抗甲状腺薬にはメルカゾールとプロパジール/チウラジールの2種類がありますが、効果が確実で副作用が少ないなどの理由からメルカゾールが第一選択とされています。
妊娠前後や授乳婦の場合はプロパジール/チウラジールが望ましいとされています。