抗甲状腺薬は甲状腺ホルモンを作りにくくする薬であり、バセドウ病を含む甲状腺機能亢進症の治療に使用されています。
作用機序についてはこちらです。
抗甲状腺薬による副作用の1つに無顆粒球症があります。
無顆粒球症とは、白血球のうち顆粒球(特にそのうちの好中球)が大きく減少してしまい最近に対する抵抗力が下がってしまった状態のことを言います。
顆粒球とは白血球のうち、細胞内に殺菌作用のある顆粒を含むもののことであり、好中球、好酸球、好塩基球があります。
発生頻度は高くありませんが、生じると重篤化するおそれのある副作用です。
投与開始後、2ヶ月以内に生じる場合が多いと言われています。
無顆粒球症の状態では細菌に対する抵抗力が落ちているため、感染症にかかりやすく、重篤化もしやすいです。
初期症状では、発熱や喉の痛みといった感染症による症状がみられます。
早期発見のため、患者さんには「突然の高熱」「寒気」「喉の痛み」といった症状が生じた際は、風邪と思ってそのままにせず申し出るように指導します。
また、服用開始後2ヶ月間は原則として2週に1回は定期的な血液検査を行うようにと記載されています。
抗甲状腺薬には
・メルカゾール(チアマゾール:MMI)
・プロパジール/チウラジール(プロピルチオウラシル:PTU)
の2種類があります。
2種類の比較についてはこちらです。