白金製剤は、構造中に白金(Pt)を含んでおり、DNA合成を阻害することで抗腫瘍効果を発揮します。
白金製剤
・シスプラチン(CDDP)
・カルボプラチン(CBDCA)
・ネダプラチン(NDP)
・オキサリプラチン(L-OHP)
白金製剤は混合する輸液の種類によっては、作用部位に到達する前にボトル内で分解して活性が低下することがあるので注意が必要です。
脱離基の違いから、溶解できる輸液に違いが生じています。
以下、白金製剤の混合調整に適した輸液です。
・シスプラチン(CDPA)
生理食塩水
シスプラチンはがん細胞内で脱離基であるCl-が外れて効果を発揮します。
Cl-(塩化物イオン)濃度が低い状態だと、がん細胞へ到達する前にCl-が外れてしまい活性が下がってしまいます。
そのため、輸液には生理食塩水を使用しCl-濃度が高い状態を作ります。
(血管内もCl-が高いため、Clは外れません)
塩化物イオンを含まないブドウ糖は使用しないようにします。
・カルボプラチン(CBDCA)
生理食塩水、ブドウ糖
カルボプラチンの輸液には生理食塩水、ブドウ糖のどちらも使用できます。
ただし、生理食塩液等の無機塩類(NaCl,KCl,CaCl2等)を含有する輸液に混和するときは,8時間以内に投与を終了すること、とされています。
また、イオウを含むアミノ酸(メチオニン及びシスチン)輸液中で分解が起こるため,これらのアミノ酸輸液との配合を避けなくてはいけません。
・ネダプラチン(NDP)
生理食塩水、5%キシリトール注射液
ネダプラチンはアミノ酸輸液やpH5以下の酸性輸液に混合すると分解してしまうため、これらの使用は避けなくてはいけません。
・オキサリプラチン(L-OHP)
5%ブドウ糖液
オキサリプラチンは塩化物含有溶液により分解するため、生理食塩液等の塩化物を含む輸液と混合することができません。
また、塩基性溶液との混和あるいは同じ点滴ラインを用いた同時投与も行わないようにします。
最後に、白金製剤全てに対してですが、白金化合物はアルミニウムとの接触により分解することが報告されているため、調製時あるいは投与時にアルミニウムが用いられている機器 (注射針等) を使用することができません。