トポイソメラーゼ阻害薬はDNA複製に関与しているトポイソメラーゼという酵素を阻害することで抗腫瘍効果を発揮する薬剤です。
トポイソメラーゼとは
細胞中のDNAは、2本の鎖がらせん状にからみあう構造で存在しています。
細胞分裂時、DNAが複製される際に、らせん構造がほどかれる必要があります。
らせん構造がほどかれて、DNAポリメラーゼによる複製が行われていきます。
DNAのらせん構造がほどかれると、前方ではDNAが強くねじれた状態になります。
トポイソメラーゼはこの強くねじれた状態を解消する酵素です。
トポイソメラーゼにはⅠとⅡがあります。
トポイソメラーゼⅠ
トポイソメラーゼⅠは、2本のDNA鎖のうち1本を切断してねじれを解消します。
ねじれを解消したあと、DNA鎖を結合し修復をします。
トポイソメラーゼⅡ
トポイソメラーゼⅡは、DNA鎖を2本とも切断します。
DNA鎖どうしのからみを解消したあと、DNA鎖を結合して修復します。
このようにトポイソメラーゼはDNA複製の際、ねじれを解消することでDNA複製を助けています。
トポイソメラーゼ阻害薬の作用機序
トポイソメラーゼ阻害薬はがん細胞のトポイソメラーゼがDNA鎖のねじれを解消して再結合しようとするのを阻害することで、DNAの複製を阻害します。
トポイソメラーゼ阻害薬はトポイソメラーゼⅠに作用するもの、トポイソメラーゼ
Ⅱに作用するものがそれぞれあります。
トポイソメラーゼ阻害薬の種類
トポイソメラーゼⅠ阻害薬
・イリノテカン(トポテシン/カンプト)
・ノギテカン(ハイカムチン)
トポイソメラーゼⅡ阻害薬
・ドキソルビシン(アドリアシン)
・ダウノルビシン(ダウノマイシン)
・エピルビシン(ファルモルビシン)
・イダルビシン(イダマイシン)
・アクラルビシン(アクラノシン)
・アムルビシン(カルセド)
・ミトキサントロン(ノバントロン)
・エトポシド(ラステット/ベプシド)
・ソブゾキサン(ペラゾリン)