ウテメリン(一般名:リトドリン)は子宮収縮抑制作用があり、切迫流・早産治療に使用される薬剤です。
ウテメリン(一般名:リトドリン)は子宮平滑筋を弛緩させることで、子宮収縮抑制作用を発揮します。
ウテメリンには内服薬と注射剤があります。
切迫早産は軽症であれば、自宅安静と、子宮収縮抑制薬の内服で治まります。
症状が強い場合は入院し、子宮収縮抑制薬の点滴治療が必要になる場合があります。
今回はウテメリン注の調製についてです。
規格
ウテメリン注 50mg/5ml
適応症
緊急に治療を必要とする切迫流・早産
用法用量
1アンプル(50mg)を
5%ブドウ糖注射液500mlまたは10%マルトース500mlに希釈し
50μg/分で点滴静注開始
有効用量:50~150μ/分 200μg/分まで
子宮収縮抑制状況および母体心拍数などを観察しながら適宜増減
子宮収縮の抑制後は症状を観察しながら漸次減量し、50μg/分以下の速度を維持して収縮の再発が見られないことが確認された場合には投与を中止する
ウテメリン注のブドウ糖希釈について
ウテメリン注は5%ブドウ糖または10%マルトースで希釈するように添付文書には記載されています。
生理食塩水を含む電解質輸液の使用は避けるようにとされています。
その理由は、
肺水腫予防のためです。
ウテメリンによる肺水腫が起こる機序ははっきりと解っていませんが、
レニン-アンジオテンシン系賦活による水分およびナトリウムの貯留、心拍数上昇による心拍出量の低下(心拍数の増加で心臓に血液を満たす時間が減少するため)、肺毛細血管の障害に伴う血管透過性の亢進などが考えられています。
電解質輸液にはナトリウム(Na)やカリウム(K)などの電解質が含まれています。
これらを多く投与された場合、体液過剰な状態となり、進行し肺水腫につながるおそれがあります。
また、肺水腫は心疾患、妊娠高血圧症候群の合併、多胎妊娠、副腎皮質ホルモン剤併用時等に発症しやすいとの報告があります。
このような患者さんには水分の過負荷(取り過ぎ)を避け、十分な観察を行います。
水分の過負荷を避けるには、薬剤濃度を上げて輸液の注入量を減効果的です効果的です。
シリンジポンプを使用することで、薬剤濃度を3mg/mlまで上げることができます。
注入速度は1ml/hrで50μg/分の初期投与量が得られます。
水分の負荷は通常の1/30になります。
肺水腫とは
肺水腫とは肺胞内に水分が溜まった状態のことです。
肺胞内に水分が溜まることで、酸素と二酸化炭素の交換ができず、呼吸困難の状態となります。