乳酸カルシウムとリン酸水素カルシウムはどちらもカルシウム製剤です。
今回はこの2剤の違いについてです。
どちらもカルシウム製剤ですが適応が異なります。
適応症
乳酸カルシウム
低カルシウム血症に起因する下記症状の改善
テタニー
下記代謝性骨疾患におけるカルシウム補給
妊婦・産婦の骨軟化症
発育期におけるカルシウム補給
リン酸水素カルシウム
下記代謝性骨疾患におけるカルシウム補給
くる病、骨粗鬆症、骨軟化症
妊娠・授乳時におけるカルシウム補給
用法用量
乳酸カルシウム
1回1gを1日2~5回
リン酸水素カルシウム
1日3g 分3
このように乳酸カルシウムには骨粗鬆症の適応がありません。
(適応外として使用される場合はあります)
また、リン酸カルシウムよりも乳酸カルシウムの方が、胃腸からのカルシウムの吸収が優れていると言われています。
リン酸カルシウムの添付文書には以下の記載がされています。
「本薬は妊娠、授乳、骨カルシウム沈着減少時などカルシウムとリン酸塩の要求が増すときに、カルシウムとリン酸塩の補給源として一般に用いられる。
胃腸から吸収される程度はグルコン酸又は乳酸塩に劣るといわれ、カルシウムのみが必要なときはグルコン酸カルシウムや乳酸カルシウムのほうがすぐれている。
しかし、食物の強化としてカルシウム及びリン酸塩の双方が必要であるときには本薬が用いられる。
食物中のカルシウムとリンの比は1〜2:1が最も適当であるが、本薬におけるこの比は1.3:1である。」
カルシウムの吸収だけを考えれば、乳酸カルシウムの方が優れており、骨粗鬆症に対して適応外で乳酸カルシウムが処方されるケースがあります。
骨粗鬆症に対してはカルシウム製剤だけが単独で処方されることは少なく、他のもっと改善効果に優れた薬剤が優先して使用され、カルシウム製剤は補助的に併用されます。
ですが、日本人のカルシウム摂取量は以前から少ないと言われており、カルシウム製剤も服用することで他剤の効果を高めることが期待できます。
経口カルシウム製剤では他に、アスパラCA(一般名:L-アスパラギン酸カルシウム水和物)があり、こちらは錠剤です。