トラニラスト(リザベン)は抗アレルギー作用と、ケロイド・肥厚性瘢痕治療作用をもつお薬です。
適応症は
気管支喘息,アレルギー性鼻炎,アトピー性皮膚炎,ケロイド・肥厚性瘢痕
となっています。
トラニラストはヒスタミンやロイコトリエン、トロンボキサン、プロスタグランジンなどのケミカルメディエーター(化学伝達物質)が肥満細胞(マスト細胞)から遊離するのを抑制することで、アレルギー反応を抑えます。
肥満細胞の細胞膜を安定化することで、ケミカルメディエーターの脱顆粒が起こりにくくしています。
ケミカルメディエーターが肥満細胞などから放出されると、痒みや血管透過性の亢進、粘液分泌、平滑筋収縮などのアレルギー症状が生じてしまいます。
トラニラストがケミカルメディエーターの放出を抑えることで、鼻水やくしゃみ、痒みを軽減し、軽い喘息にも効果を発揮します。
(喘息に対しては既に起こっている発作を抑制する効果は無く、他の喘息治療薬の補助薬として使用されます。)
既に放出されているケミカルメディエーターに対しては防ぐことができないため、症状が出てしまってから使用すると効果が出るのに時間がかかる場合があります。
ですが、抗ヒスタミン薬のようにヒスタミンH1受容体を阻害する作用はないため、眠気や口渇といった副作用は比較的少ないです。
そして、トラニラストにはもう一つケロイド・肥厚性瘢痕治療作用があります。
肥厚性瘢痕では皮膚が傷付いた後、経過とともに傷が盛り上がって再生され目立つようになるだけでなく、痛みや痒みを感じることもあります。
肥厚性瘢痕では、傷付いた範囲より広がって瘢痕(傷痕)ができことは少ないです。
傷を越えて正常皮膚まで瘢痕が拡がったものをケロイドと呼び、痛みや痒みを伴うことが多いです。
ケロイド・肥厚性瘢痕はコラーゲンや血管の集まりの中に、炎症細胞が含まれたかたまりです。
トラニラストはコラーゲンの合成を抑制することで、ケロイド・肥厚性瘢痕を改善させます。
コラーゲンの合成にはTGF-β1というサイトカインと活性酸素が関与しています。
トラニラストはTGF-β1と活性酸素の生成、遊離抑制作用をもち、ケロイド・肥厚性瘢痕でのコラーゲン合成を抑制します。
傷が盛り上がって再生してしまうのを防ぐため、できるだけ早期に服用を開始し、自己判断で中止したりせず継続して服用をすることが大切です。
まとめ
・トラニラスト(リザベンは)抗アレルギー作用と、ケロイド・肥厚性瘢痕治療作用をもつ
・コラーゲンの合成を抑制することでケロイド・肥厚性瘢痕を改善する
・TGF-β1と活性酸素の生成、遊離抑制作用からコラーゲンの合成を抑制する