薬剤師いんふぉ

薬剤師の学習記録です

CDK4/6阻害薬の作用機序

CDK4/6阻害薬(CDK:Cyclin Dependent Kinase)は「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん」に使用される薬剤です。

 

 

 

CDK4/6とは

CDK4/6とは「サイクリン依存性キナーゼ」のことであり、細胞分裂にストップがかからないようにしてしまう酵素です。

 

正常な細胞では無秩序に細胞分裂が続いてしまわないように、細胞分裂の途中でストップがかかります。

 

ですが、がん細胞ではサイクリン依存性キナーゼが、細胞分裂の制御ができない状態にして無制限に細胞が増殖してしまいます。

 

がん細胞ではCDK4CDK6といったサイクリン依存性キナーゼが発現しています。

 

 

 

細胞分裂

 

  G1期 → S期 → G2期 → M期 → G1期

 

の細胞周期を経て起こります。

 

S期:DNA合成期

M期:分裂期

G1期:M期とS期の間

G2期:S期とM期の間

これらの細胞周期に属していない状態をG0期と言います。

 

 

細胞周期の進行は3つのチェックポイントで監視されています。

 

そのうちの1つがG1期にある「G1チェックポイント」です。

無制限に細胞分裂が起こらないようにG1チェックポイントで抑制していますが、CDK4やCDK6といった酵素により、このチェックポイントが機能しなくなってしまい細胞分裂が続いてしまいます。

 

 

 

 

 

CDK4/6阻害薬の作用機序

CDK4/6阻害薬は、このCDK4やCDK6を阻害することで、がん細胞の増殖を防ぎます。

 

CDK4やCDK6はサイクリンDという補助因子と結合して複合体を形成することで活性化され、細胞周期を進行させます。

 

CDK4/6阻害薬はCDK4/6とサイクリンDとの複合体の活性を選択的に阻害することで、細胞周期がG1期で停止して、がん細胞の増殖が抑制されます。

 

 

 

 

 

内分泌療法との併用

CDK4/6阻害薬は内分泌療法(抗エストロゲン薬やアロマターゼ阻害薬)との併用で抗腫瘍効果の増強が認められています。

 

そのため、CDK4/6阻害薬を使用する際は、抗エストロゲン薬(フルベストラント、タモキシフェン)やアロマターゼ阻害薬(アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタン)と併用します。

 

 

 

 

 

CDK4/6阻害薬の種類

・イブランス(一般名:パルボシクリブ)

・ベージニオ(一般名:アベマシクリブ)